組合員のみなさま、
組合では、公立大学法人化後において、本学教職員が公立学校共済に加入できない問題について、総務省ならびに、大学および公立学校共済の所管官庁である文科省に対して、昨年12月25日付で質問書を送付し、回答を要求いたしました。
この問題に関して、これまで法人理事者は、「(本学が公立学校共済組合に加入できないことは)法律でそのように決まっている。そのため平成20 年、石川前知事が総務省に公立学校共済に加入できるよ う法律改正の要望をしたが、年金制度改革等の関係上、極めて難しいとの回答であった。引き続き県を通して国への働きかけは継続してい くが、現実的な対応として、実質的に公立学校共済に加入した場合と同等の条件になるよう努力していく」という回答を行ってきました。
しかし法人側の言う法的根拠は、
12/9回答書による限り、必ずしも明確でなく、また国に対する働きかけが,どの程度行われたかも極めて疑わしいため、組合として納得しかねたので、このたび総務省ならびに文部科学省に対し、同文の質問書を送付して、公式回答を求めたものです。
質問書本文を以下に掲載しますので、ご覧下さい。
なおこの質問書に関して、文科省から県に対して問い合わせがあった模様です。その詳しいことに関しては、内容が分かり次第、改めてお知らせします。
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<質問書本文>
2009年12月25日
総務省御中
静岡文化芸術大学
教職員組合
ご多忙の中を恐縮ですが、本学教職員の処遇に関する問題で、貴省の管掌に関わる事項について疑義が生じましたため、貴省の見解を伺いたく、書面を差し上げる次第です。
本学はこれまで静岡県ならびに浜松市等出資の私立大学である学校法人静岡文化芸術大学として運営されて参りましたが、来る2010年4月1日をもって、公立大学法人静岡文化芸術大学(理事長予定者:有馬朗人、学長予定者:熊倉功夫)として再出発することが決定されております。
それに伴い、教職員も従来の私立大学職員の身分から、公立大学法人の職員へと移行いたします。
しかしながら、その際、本学教職員は他の公立大学法人職員とは異なって、公立学校共済組合への加入が認められず、長期給付に関しては地方職員共済組合団体部、短期給付に関しては協会けんぽに加入することになっており、公立学校共済組合に比してきわめて条件の悪い保障しか受けられないこととなります。
この移行方針は現在の本学法人理事者の説明では、本学の事情によって決定されるものではなく、国の法律に基づいて判断したものであるとのことです。
しかし法人理事者の説明は、準拠法ならびにその解釈において、必ずしも明確でなく、教職員組合としては別途、法律専門家とも相談いたしましたが、法人側の説明では不十分であるという結論に達しましたので、改めて貴省の見解を確認いたしたく存じます。
1) 地方公務員等共済組合法の本旨に照らした疑問
現在のところ、法人理事者が根拠としてあげているのは、本学が私立大学から公立大学法人への移行という前例のない形で設立されるため、公立学校共済組合への加入が認められないという点であります。
しかしながら、県立大学から公立大学法人へ移行した場合には、公立学校共済組合への加入が認められているということは、公立大学法人職員が実質的には明らかに公立学校教職員と同等の身分であることを、法律そのものが承認しているのと同じことです。したがって前身がいかなる形態であるかという区別によって、公立学校共済組合への加入を排除する積極的な理由は存在しないと考えられ、にもかかわらず、それが認められないというのは、本組合としては納得しかねます。
これは社会保障という重大な問題において、同一身分に属する人間が、他と差別的な扱いを受けることを意味するものであって、同一身分の平等という観点からも承伏しかねる事態です。また公立大学法人の中に、教職員の処遇において不平等な2通りの形態が併存することは、結果として公立大学法人内部に無用な格差を生じることにもなると考えられます。
2) 長期給付と短期給付との不整合
また上記の結果として、長期給付と短期給付に関して、それぞれ別個の組合に加入しなければならないという変則的な形を生むこととなり、これは社会保障の一体性という本旨に反するものというべきではないでしょうか。
3) 「移行型」の定義の曖昧性
本学が公立学校共済組合への加入を認められない法的理由として、法人側は、本学が移行型の一般地方独立行政法人に当たらないため、地方公務員等共済組合法第144条の3の規程によって、地方職員共済組合への加入が定められていることを挙げております。
しかしながら地方独立行政法人法第59条の2の規程によれば、「移行型の一般独立行政法人」の定義は、「一般地方独立行政法人であってその成立の日の前日において現に設立団体が行っている業務に相当する業務を当該一般地方独立行政法人の成立の日以後行うものをいう」とあるだけです。この規程が、どの様な団体を想定して設けられたかは存じませんが、公設民営大学のような、事実上の県
立大学を対象として想定していたとは考えられません。
4)県立大学としての実態の無視
本学は、独立地方行政法人法の制定以前に設立された関係で、公設民営方式による私立大学という形態を取らざるを得なかっただけで、事実上は県立大学というべき存在です。しかも特に本学は、すでに公立大学法人への転換を遂げた高知工科大学などとは異なり、既存の静岡県立大学短期大学部浜松校の改組・転換によって成立したという経緯もあります。
これらを併せ考えれば、地方独立行政法人への転換後も継続して同一の教育内容で業務を遂行し、業務内容の継続性に関しては当該要件を満たしている以上、移行型の一般独立行政法人に準拠して、公立学校共済組合への加入を認めるのが常識的判断ではないでしょうか。
5)公設民営大学一般への波及
本学同様、公設民営方式で設立された大学のうちには、新たに公立大学法人への転換を検討している大学も、いくつかあるように承っております。しかし、おそらくどの大学も、このような隘路が存在していることを的確に認識しているとは思えません。今後とも、この問題を巡って紛議が生じることが予想されますので、今のうちに実態に即した明確なルールが確立される必要があるものと考えられます。
以上の諸点について、当組合としては貴省の書面による正式見解を伺いたいと存じます。
おそらく私立大学から公立大学法人への移行というのは、現行法の想定していなかった事態であり、貴省としても対応に苦慮される案件ではあろうかと存じます。しかしながら社会保障制度の問題は、現今の社会状況の中では極めて論議を呼ぶ問題であり、何よりもまず当事者にとっては切実な問題であります。
そうした事情を御賢察の上、本学教職員の公立学校共済組合への加入が可能となるような判断を御提示頂ければ幸いに存じます。宜しくお願い申し上げます。
以上